ナカのひとびと

小さい頃から市場は身近な存在でした。勝鬨で生まれ育ち、父も近所の人も市場関係者ばかり。魚の好き嫌いはありません。特に明確な動機があったわけではありませんが、この土地で育った者として、「これも縁。一度はやってみよう」と思い、この仕事に就きました。
現在は貝類、季節商材、加工製品などを担当しています。中でも鹿児島産のキビナゴは、その加工の丁寧さに毎回驚かされます。一尾一尾がきれいに整列し、光沢のある身は見るだけでも品質の高さが伝わってきます。
商品を仕入れて販売するまでには、荷主や仲買との細かなやりとりが欠かせません。朝の荷受けから始まり、品質や価格を確認しながら、得意先のニーズに応じた提案や調整を重ねていきます。年によって漁獲や相場が大きく変わることもあり、判断は常に一筋縄ではいきません。けれども、先輩や同僚、取引先とのやりとりの中で情報を集め、協力し合いながら一つずつ仕事を形にしていく。その積み重ねが、市場という場所の大きな支えになっているのだと思います。
これからも一つひとつの商いを丁寧に、誠実に積み重ねていくことで、市場とともに歩んでいけたらと思っています。