

宮崎の海沿いで育った私は、子供の頃から釣り三昧。大学の水産学部時代、先生から市場への就職を勧められ、1社だけ受けて即決しました。入社後、最初はエビ部にいましたが、早朝勤務の鮮魚部に移ってからは、もうここが天職で、今は主に北海道から三陸のサンマやカレイを扱っています。
天然魚を扱う面白さは、毎日状況が変わること。外国を含め各地の漁獲実績、海水温の変化、天気予報まで、あらゆる情報を総合してサンマの動きを予測します。サンマのプロになるには最低5年はかかると思います。毎年獲れる場所も規格も変わるため、経験の蓄積が欠かせません。
今年は去年と全然違います。去年のサンマは細くて、刺身や寿司という売り方で工夫しましたが、今年は脂がしっかり乗っている。8月でもお腹にアミ類がたっぷり入っていて、9月10月にはもっと美味しくなるはずです。
一番嬉しいのは、荷主さんに良い報告ができる時。産地で漁船を見送る家族の姿を見ると、期待を背負っているという責任感でいっぱいになります。想定以上の値段で売れた時に「今日の魚が良かったから売れました」と報告できる瞬間が最高です。
失敗を引きずらない性格で、遅刻で大目玉を食らった翌日も笑顔で出社。今は優秀な後輩たちと一緒に、毎日魚を見て、触れて、産地の人たちと情報交換しながら、お客様と荷主さんの期待に応え続けています。
美味しいサンマの見分け方は、頭がもっこりしていて、くちばしと尻尾が黄色いもの。脂の乗ったサンマは内臓の周りにもラードが固まっていて、焼くとその油と内臓の苦味がマッチして絶妙な甘味とうま味を生み出します。今年のサンマなら、すだちだけで十分美味しいです。