
ウニを担当して31年目になります。
入社動機は満員電車に乗りたくなかったから。大学で「荷受けに行くか」と言われて、そのまま中央魚類に入りました。
入社後は関西課(今の生鮮課)に配属されました。配属当初は、入荷した魚の目方を控えたりなどの補助ばかり。鮮魚で5年働いた後、ウニ担当になりました。理由は「声がでかい」から。当時の広い競り場では、声が通らないと仕事にならないとの理由だったようです。ウニの折を30枚以上ひっくり返すという失敗をしたこともあります。
ウニの品質は主に色と乾きで見極めます。その良し悪しは、産地が一巡する1年もすればわかるようになりますが、なぜその差が出るのか、その原因を推察できるようになるには、私は10年以上かかりました。
ウニは、ほとんどが委託販売です。荷主さんが大切な商品を預けてくれる。言い方を変えれば、私を信じて財産を持ってきてくださる。裏切れません。
今思えば、転機は天気予報。水産学部で学んだ天気図の読み方を学び直し、「○○日後に時化が来るから、その数日後のセリ場の入荷が減るはず。それに備えて原料を確保しておいてほしい。」と荷主さん達に伝え、実際にその通りとなり、入荷が減った日のセリ値は跳ね上がりました。それが数回続いた後、荷主さん達からかなり信用されるようになってきたな、と感じるようになりました。今も、天気、相場、他社の傾向などを読んで、荷主さん達により良い提案できるように、と考えながら仕事をしているつもりです。
新人の頃、上司に「同じ日は二度と来ない」と言われました。成功体験に縛られるなという意味だと捉えました。競りは仲卸さん達の言い値であると同時に、競合他社との相対(そうたい)評価でもあります。他社の状況、入荷量、市況を瞬時に判断して、並べ方を変える。マニュアル化できないことを、人間がやる。それが私の仕事だと考えています。
ウニ独特の濃い味わい、甘味、うま味、脂がいちばん合うのは酢飯ではないかと、私は思っています。私自身、この仕事をしていながら寿司屋さんへは久しく行っていないので、大変恥ずかしい限りなのですが、寿司屋さんで様々な寿司ダネとともに、ウニの味を楽しんでいただければ、と思います。
