まかないシリーズ商品化
エビフライにアジフライ…
メーカーでもないのに、なぜこんなプライベートブランドを?
前 冷凍加工部長
喜多 保之
2021年入社
冷凍加工部冷凍加工二課
海老・カニチーム
北島 佳奈
2021年入社
冷凍加工部冷凍加工二課
海老・カニチーム チームリーダー
西牟田 健吾
2005年入社
単なる荷受けではない、新たな道を開拓する「エビフライ」
喜多
西牟田
西牟田 「本当においしいエビフライ」をきちんと価値が反映された価格で販売したかった。エビフライってみんな大好きなはずなのに、外で売っているエビフライはおいしくないものがほとんど。衣率80%でエビがどこにあるのかな、という感じです。
喜多
喜多 エビフライあるあるだよね。
西牟田
西牟田 エビフライに対する「どうぜおいしくないのだろうな」という先入観を覆すことが、非常に難しかったですね。
喜多
喜多 エビフライに向かない、安いだけの原料を使った、おいしくないエビフライがずっと量産されてきたからね。エビ自体、価格がどんどん下がって、ごちそう感がなくなってしまっている。
西牟田
西牟田 エビって一番、市場が必要としない商材ですよね。海外からメーカーが買ってきてそのまま量販店に売ることができる。そのような中で、自分たちが主体性を持って販売できるものを何かしらやりたいなと。それに、魚は肉より高価。高いなら高いなりに、食べた時の満足感がきちんとある、おいしいものにしていかなければいけない。この数十年、安さだけを追い求めてきた間に、そこが失われたような気がして。もう一度、魚を、おいしいものを、売っていかないと、と。
「おいしい」のに売れない!
西牟田
西牟田 ところが、おいしければ売れると思っていたのに、最初はぜんぜん売れなかった。初めの1年間くらい、土日は試食販売までしに行きました。バイヤーもおいしいと言って食べてくれるのに、隅に置いてくれようともしない…。消費者はおいしいエビフライを求めているはずなのに、なんでと思いました。
喜多
喜多 最初は「社員食堂」と書いていなかったの?
西牟田
西牟田 はい。つきつめていくと、おいしいエビフライとおいしくないエビフライの違いが見た目でわからない。そこをどう消費者に訴えていくことができるのか?
喜多
喜多 各社がエビフライに取り組んではあきらめてきたのは、そこだ。
「築地のまかない」誕生
西牟田
西牟田 そこで、「築地の社員食堂で食べられていた。魚のプロが自分たちのために食べていたエビフライ」というストーリー性をつけたのです。それでお店に置くと、今までにない売れ方。ぜんぜん違った。
喜多
喜多 「築地」と「まかない」という言葉は、パワーワードだよね。
西牟田
西牟田 市場が築地にあった時代は社員食堂がありました。そこで月に1回くらいエビフライの日があって外からのお客さんもよく食べに来ていた。そのエビフライをイメージしたのです。
喜多
喜多 一人で企画して一人で作って。熱意があるとやはり実現するなあ。
西牟田
西牟田 パッケージデザインは、今まで水産デザインをやったことがないデザイン会社に変えました。
北島
北島 赤い包装袋は多いけど、これは青で目立ちます。
西牟田
西牟田 寒色系は食品に使ってはダメだとみんなに反対されましたけどね。それに、この輪切りのエビフライの写真。写真撮りまで自分たちで、しかも本物を切ってね。大手メーカーさんだと絶対にこういう写真は載せない。実物と違うと消費者からクレームがくるから。
喜多
喜多 エビフライの常識を破った。(笑)
チャレンジも大変さも、面白い。
西牟田
西牟田 うちの社風のいいところは、チャレンジさせてくれるところですね。こういうのをやりたいと言ったときに NO とは言われません。
喜多
喜多 誰でもやらせてくれるかは、わからないけどね。
西牟田
西牟田 失敗したとしても自分が出している1か月分の利益でカバーできるだろうなと、見極めながら進めました。
喜多
喜多 トータルの実績を持っている中でのチャレンジだ。
西牟田
西牟田 北島さんは入社3年目。業務量はかなり多いと思うけど。
北島
北島 今やっているのは 商品開発。それに「まかないシリーズ」の販売促進と受発注などの顧客対応、在庫管理ですね。
西牟田
西牟田 ふつうのメーカーだと開発、マーケティング、製造、販売と部署がある程度分かれているけれど、うちはデリバリーまで我々2人でやる。かなり大変。
喜多
喜多 海外にもこの2人はよく行っている。もう独立した会社みたい。
北島
北島 全部できるから楽しいです。お客さんに何を聞かれても全部答えられる。自分の言葉で商品を紹介できるのが楽しいですね。
西牟田
西牟田 自分で納得したものを、必要な人に適正な価格で買ってもらえる。買った人に喜んでもらえて、自分たちは利益も上げられる。だますようなことがない。これって本当にいい仕事だなと思います。
喜多 前職は冷凍食品会社にいましたが、大手の食品会社でもエビフライはあまり売れないものという認識でした。ところが、私が担当として30年間くらいかけて販売した量を、西牟田はわずか数日で売ってしまった。